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2007年4月11日 (水)

高崎経済大の留年通告の問題

  高崎経済大学で女子学生が自殺した問題で、強圧的な指導に要因があったということで、ゼミ指導担当の准教授が懲戒免職処分になっていたというニュースはかなり広がっているようです。
 大学院生レベルの難しい課題について期限までに提出できない場合は「即留年」と女子学生にメールなどで通告していたようですが、それはあまりにも指導者として誠意がないように思います。少なくともニュースで聞く限りでは、その女子学生は非常に熱心にゼミに参加し、かなり高いレベルの学生だったようですし、メールのやりとりも英語でやっていたようです。そういう意味では、少なくとも教員としてはその学生を卒業まで成長させていく責任があると思います。いわゆる単位をふりかざして、提出できないから即留年というのは、自らの指導の無さを露呈するようなものではないでしょうか。更に言えば、アカデミックハラスメントの典型のような気がします。その女子学生にとっては、課題が提出できない=もう生きていく意味がないと考えるまで、プレッシャーを受けていたように思われます。通常では、課題を提出できなかったとしても死ぬところまで考える必要は無い訳で、逆に言うと、その教員のゼミの雰囲気が学生をそこまで追い詰めたような気がするのです。
 その教員は、「間違ったことはしていない」と言っているようですが、もし、その教員がまたどこかの大学の教員になってしまったら同じスタイルでやることになるかもしれません。そういう意味では、個人的には大学が出した判断は正しかったのではと思います。
 大学の教育においてレポートなどの提出期限を守ったり、通常の授業においても課題をきっちりとやるということは、学生の義務であるし、それに反する行為に対しては教員もそれなりの対応はしなければなりません。もちろんシビアな場合には単位を与えなかったり、それが留年に関係する場合もでてくると思います。ただ、その場合、学生がそのことをきっちりと認識して納得するまでは、教員としては徹底的に向き合わなければならないと思います。今回の高崎経済大の教員はどこまで誠意をもって学生に向き合ったのか。単にその提出期限に間に合わなかったからといって留年にできるのか。女子学生へのフォローはどれくらいしているのか。自殺すると言ったときにどれくらい真剣に対応したのかなど、考えることは多いです。もちろん当事者同士でない限りこんなことを書いても無駄かもしれませんが、私的には優秀な学生さんをこのような形で亡くしたというのは本当に悲しい気持ちになります。
 

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コメント

松原先生 おはようございます。
わたしの行ってた大学にも、変な伝統授業がありましたよ。今でも、やってるのかどうかは知りませんが…。“実験”の授業なんですが、“その実験のレポートは必ず翌日の朝に提出”ってことになってました。だから、学生は全員、その日は“徹夜”と決まっておりました。指導教官曰く
「これは君たちを鍛えているのだ。週に一日は徹夜してもらうことになる」
でも、皆、それを素直に受け止めて、全員、実験の日は徹夜してました。まぁ、“社会に出たらそんな感じで仕事しなくちゃダメなのかな”みたいな感じで、皆、受け止めていたように思います。でも、これも、今だったら“アカデミックハラスメント”ですよね。まあ、お蔭様で成績は“優”頂きましたけど。多分、提出遅れてたら“良”とか“可”になっていたでしょうね。でもまさか例え“不可”貰っても、次の年に再度その授業を受ければ良い訳で、即留年は無いですね。
今回の高崎経済大学の事件は本当に行き過ぎですね。

投稿: 阿頼王 | 2007年4月12日 (木) 07時15分

阿頼王

たしかに教員によっては学生を鍛えるという意味で、厳しくする場合もあるかと思います。しかし、そこには愛情も必要で、提出しないから即留年とかは、やはりありえないのかと個人的には思っています。
昔は、大学の教員から言われれば、素直に従っていましたが、今はこちらが気を使ってしまうぐらいルーズな学生さんもいますので、なかなか難しいです。

投稿: Mamoru Matsubara | 2007年4月12日 (木) 09時51分

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追記 昨日の新聞では書かれていなかったが、この准教授の出したとされる課題は、大学 [続きを読む]

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