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2012年12月27日 (木)

年末の訃報

 本日、喪中はがきとある先生からの連絡で藤田保健衛生大学総合医科学研究所の在職中にお世話になった千谷先生がお亡くなりになられたことを聞き大変悲しく思っています。先生は我々からすると雲の上の大研究者で、まさかその先生の下で研究ができるとは思ってもみませんでした。大学のころに研究したタンパク質のほとんどは千谷先生によって1960~1970年代くらいにアミノ酸の1次配列が決められていました。ノーベル賞を受賞したクレブス博士の発見したプロテインキナーゼAの配列は千谷先生が決定されたものですし、ほかにも免疫グロブリンや血液凝固因子であるフォンビルブラント因子など、難しい巨大なタンパク質の1次構造を次々に決定されていました。長年アメリカのワシントン大学で教授をはっておられ、1980年代半ばに日本に戻られ、そこでも優秀な先生方を育てていました。そんな研究室で7年間ほど一緒に過ごせたことは私の誇りです。研究には厳しくも、しっかりと成果を出せば認めていただけるし、日常は非常に優しいおじい様のような方でした。昨年の3月に奥様の故郷である札幌に移住されるということで懇親会がありそれに参加させていただいたのが最後になりました。その時はまだまだお元気でしたので急にお亡くなりになられて驚いています。ここずっとがんと闘っておられたということで非常に残念です。千谷先生の研究室で始めた細胞内シグナル伝達の研究、特に千谷先生が発見された非常に重要な脂質修飾であるミリストイル化についてはその遺志を継いで引き続き頑張って、いい成果を出していきたいと思っています。
ご冥福をお祈りします。

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コメント

ヤックスオヤジです。
恩師の方の訃報、言葉に尽くせない寂しさと思います。
「ものづくり」の世界では、一時期「効率化」「短期開発」という言葉に踊らされ「目先の利益の確保」に走った時期がありました。
しかし、数年前に「人材育成」「技能伝承」という「ものづくりの原点」となる言葉に戻りました。
革新的な技術は一世代で成し遂げることは難しいと思います。
先輩から受継いだことを次世代につなげ「世のため人のために役立つ」ことに徹することで日本は存在力を示すのではないでしょうか。

投稿: | 2012年12月30日 (日) 16時42分

ヤックスオヤジさん

暖かいコメント有難うございます。
おっしゃるように人材育成して、技能を伝承するというのは非常に大切ですよね。日本のものづくりはまさにそれが大切です。今後、こういうことがしっかりできる企業が生き残っていくのでしょうね。研究の世界でも、次の世代の研究者をしっかりと育てられるかが重要です。

投稿: Mamoru Matsubara | 2012年12月30日 (日) 20時53分

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