« 5期生の卒業式 | トップページ | 研究室ワックスがけ。 »

2014年3月18日 (火)

博士論文コピペ問題

 小保方さんのNatureに発表されたSTAP細胞の問題が、今は小保方さんの早稲田大学の博士論文のコピペ問題にまでひろがり、更には早稲田大学の他の方々の博士論文のコピペ問題にも波及してしまい、個人的にはそこまでやらなくてもと思っています。
 博士論文は全て公開されているので、調べようによっては今後大変なことになるような気がします。

 特に問題になっているのは、研究背景(イントロダクション)について引用なしでオリジナルの英語論文をそのままコピペしているケースです。確かに引用なしの盗用は問題です。ただ当事者にとっては、研究室の先輩が行ってきた研究室の慣習であり、それを真似て他の論文をそのまま使ってしまったというのが本音かもしれません。特にイントロダクションの文章は、ある特定のテーマに関しては、様々な先行研究をまとめた優れたレビューを参考にするケースが多いでしょう。英語を母国語としない我々日本人にとっては、そこに書いてある洗練されたレビューはまさに自分の言いたいことそのものであり、下手な自分の英語を書いたとしても、先生からは、そんな下手な英語を書くのだったら最初は参考になる英文を真似たほうが良いと言われるでしょう。

 私のケースを思い出してみると、初めて英語の論文を書いたのが修士課程1年生の時でしたが、はじめは自分で四苦八苦しながら自力で書きました。しかし、先生に直されたあとは真っ赤に返ってきて、まずはネイティブの英語論文の表現を常に意識して真似てみなさいと言われました。その後は、常に英語の論文を読みながら、イントロダクションに使える表現だというものについては、データベースを作っていきました。そのデータベースを参考にして、イントロダクションを書いていました。もちろん論文にこういった英語論文の表現を使う場合は、参考文献は明記して、少し表現を変えながら書いたと思います。論文を書き始めたばかりのたいていの若い人たちはこんな感じでやっているのではないでしょうか。全くオリジナルなイントロダクションを書くというのはかなり大変だと思います。逆に日本人特有の分かりにくい英語を書けば、必ず英文チェックの際に直されるます。結局はイントロダクションについては分かりやすいレビューをベースに書いたほうがいいということになります。
 今回のケースでは、完全にコピペして書いてしまったケースが多かったわけですが、考え方としては、悪意のある盗用ではなく、レビューに書いてあった分かりやすい文章をそのままイントロダクションに採用してしまったということだと思います。
 もちろん指導者がしっかりと英語論文執筆の肝を教育するのは必須であり、今回の早稲田のケースではそれが無かったのかもしれません。

 今回の問題を何もかもコピペだからダメだという単純な結論にするのではなく、これを機にしっかりとした英語論文執筆の考え方を教育する契機にして欲しいと思います。
批判ばかりだと何も進まないような気がします。
 

|

« 5期生の卒業式 | トップページ | 研究室ワックスがけ。 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 博士論文コピペ問題:

« 5期生の卒業式 | トップページ | 研究室ワックスがけ。 »